ホワイトロリータ

僕はルマンド派です

【サッカー】2014FIFAワールドカップ日本代表総括【ザックJAPAN】

日本のほぼ真裏に位置する国、ブラジル。

2014年6月12日からサッカー界はもとより、スポーツ界全体で見ても最高峰の大会が予定通り開催されました。
各地でグループリーグが消化され、6月26日時点でグループリーグをすべて消化していないチームは8チームのみ。

死力を尽くして闘った選手たちですが、2位以上と3位以下で明暗がはっきり分かれるのがこの大会です。

スペインは2連敗で3試合目を待たずにグループリーグ敗退が決定し、グループの草刈り場になると見られていたコスタリカ雑草の意地を見せるが如く2連勝でグループリーグ通過を決め、逆に同グループの強豪イングランドは1勝もできずに大会を去ることとなりました。

番狂わせとゴールの多さ、そしてキ○ガイな行動が目立つ選手が多い印象の今大会、我らが日本代表もグループリーグ突破を目指して闘い抜きました(優勝とか言っていた選手が何人かいましたが、その彼らが今大会の戦犯となったことはあえて言わないでおきましょう)。
しかし、結果は1勝もできないという残念なものに。

経験豊富で強豪クラブを率いた実績を持つイタリア人指揮官の下、攻撃サッカーを終始貫いてきたわけですが、大会本番にしてその信念が揺らいでしまったようです。
個人的には結果よりもそちらの方が残念に思います。

さて、今大会の日本代表はどうだったのか。
記憶が鮮明なうちにここへ記しておきたいと思います。
いずれまたこの大舞台へ挑むとき、過去の記憶を掘り起こすことによって、より熱狂と興奮を高めることができるかもしれませんからね。


試合の内容については私があえて言うより、プロの記者によるデータと、それに裏打ちされた批評をご覧になった方がいいと思われるので多くは語りません。
ほとんどの人が抱いた印象と一致する点ばかりでしょうし。

まず、ザッケローニ監督について。
4年間を通してその采配について、称賛よりも批判の方が明らかに多かったように思いました。
試合中の采配で決定的な仕事ができるタイプの指揮官ではないということです。

しかし、日本という国を知ろうとする努力や、日本代表というチームに対する真摯な姿勢、また選手を決して批判しないスタンスは多くの選手やファンの信頼を掴んだと思います。
ただ、人柄が良くても試合には勝てないのが現実。信頼を集めても本番で勝利を呼び込むには至りませんでした。

選手起用に関しては、同じ選手を継続して招集することによって連携を高めていくことを狙っていたようです。
競争力が低いという批判もありましたが、4年を通して妥当な範囲でメンバーは入れ替わっているので、その点については強く言うほどでもないと思います。
それよりも、不調の選手を一貫して起用し続けた点の方が問題といえるでしょう。
スターティングメンバーが入れ替わらないため、招集されてはいるが試合にはほとんど出ていないという選手がいました。
それらの選手にいきなり出番を与え、結果を出せと言っても無理があるでしょう。
主力が不調なときは控え選手を積極的に試し、主力に危機感を与えつつ控え選手に経験を積ませる、という機会が少なかったように思います(特に2列目とセンターバック)。

本田もダメ、香川もダメ、といったときに、ザッケローニ監督には切るべきカードがありませんでした。
ベストメンバーで試合が動かないときに、その流れを変えられる選手がいなかったのです。

さて、日本の2大エースと評される2人ですが、今大会では戦犯といっていいレベルでした。
本田はゴールとアシストを記録したものの、彼の下にボールが収まる度にプレースピードが減退。攻撃の流れが止まってしまい、バックパスしかすることがない…という局面が何度もありました。
攻撃の流れを停滞させていた元凶であり、また、元々運動量で勝負するタイプの選手ではなく、古典的なトップ下の選手である彼を今後も軸にしていくのか、日本代表は岐路に立っているようです。
香川に関しては柿谷らと並んでもはや存在すら怪しいレベルでした。モイーズ政権下での日々を投影しているかのような存在感のなさ。
出場してたった数分で結果を出したコートジボワール代表FWドログバらとは対照的でした。

FW陣も不甲斐ない結果に終わりました。
岡崎は最終戦こそゴールを決めましたが、それまでの2試合ではシュートゼロ。これではゴールも何もあったものではありません。
柿谷は終始試合から消えており、大迫は気迫を感じるミドルシュート等はあったものの2試合ノーゴールで最終戦の出場はなし、ファンからの期待が大きかった大久保はスタンドにボールを蹴り込むのみ…

ディフェンス陣に関しては大会前からザルだと評されていたので、結果的には期待通り(?)だったので、何も言うことはありません。
他の選手を試してこなかったので別の選手だったらどうだったのか、などは考えるだけ無駄です。

4-2-3-1の「2」にあたる部分、遠藤と長谷部が長らくその座を守ってきたポジションですが、このまま遠藤をブラジルワールドカップまで主力にして(年齢的な問題で)大丈夫かと以前から言われ続けていましたが、本大会でその不安が現実のものとなってしまいました。
攻撃面で決定的な仕事ができない場合、守備面の脆さが目立っていた遠藤ですが、コートジボワール戦、途中交代で出場した彼の守備力の低さが逆転負けの一因となったように思います。
ほんの些細なことかもしれません。彼によって守備陣の負担が増し、ラインが下がり、結果としてマークが疎かになる…試合を決定づける要素は、そんな小さなことの積み重ねだと私は思っています。

日本代表のパスサッカーは何故、うまくいかなかったのか。
理由は単純です。それはパスサッカー(ボールポゼッションで支配率を高め、相手を崩してゴールを奪うこと)は「強者の闘い方」だからです。相手よりクオリティが優れているチームがボールを回してこそパスサッカーは相手が恐れるものになるのです。
アジア予選では自分たちの方が「強者」だったので、そのサッカーで何の問題もありませんでした。
しかし、自分たちより格上の相手との対戦。相手は日本の何倍も経験が豊富で、酸いも甘いも噛み分けてきています。当然、ボゼッション重視のサッカーに対する対処法も知っています。
更に強いチームであれば、そうした情報を得た相手であっても殴り勝ってしまうのですが、日本代表にはそのような力はありません。
今大会でゴール前でのアイデアの乏しさに歯がゆさを覚えたファンはたくさんいると思いますが、格上のチームが本気で守ってきたときに、それを崩す力が日本には足りませんでした。
コロンビア戦、数字上のデータがすべて上回っていたにも関わらず結果は大敗…ボールを回していても格上のコロンビアからしてみればそこに恐怖は感じなかったことでしょう。ゴールの臭いがしなければ、ボールポゼッションは単なる曲芸に過ぎません。

では、日本はどうすればいいのか。
それは先ほどとは逆で強豪相手には「弱者の闘い方」をすればいいのです。
弱者の闘い方は大きく分けて2通りあります。
ひとつはひたすら守備を固め、1-0での勝利を狙うこと。南アフリカワールドカップで日本代表が選択したやり方です。結果を残すためには最も簡単な方法ですが、ステップアップは望むべくもない、という欠点があります。
もうひとつは相手より走ること。ただがむしゃらに、ではなく、明確な意図を持ったうえでチーム全体が連動することが条件です。オシム監督が目指していたものはこちらなのではないかと推測しています。
基本的に弱者が強者を喰うにはこの2通りしかありません。南アフリカ大会終了後に日本代表が目指すべきは前者ではないと明言されたので、必然的に選択肢は後者のみです。
残念ながら、日本代表のエース、本田圭佑選手はこのいずれにも適応しません。彼のプレースピードの遅さと運動量の少なさは攻撃面、守備面、いずれであっても致命的です。前者は試合を一発でひっくり返すファンタジー(バッジョやゾーラのようなアレ)があればまだ目をつぶれますが、後者に関してはカバーするのは不可能と言ってもいいくらいです。
後者はただでさえ選手の肉体を酷使するもの。そこへ走らない選手を1人置いたらどうなるか…いかなる名将でもこれをカバーするのは難しいものです。
そうして干されたファンタジスタ(本田はそういうタイプの選手であるだけですが)は今も昔も数多くいます。

日本代表の試合でも、本田の運動量や香川も含めた守備面での貢献度の低さが当初目立たなかった要因として、格下相手の試合が多かったこと、もう1つは岡崎、前田という彼らの分まで攻守にわたって走り回る選手がいたことが挙げられます。
前田が招集されなくなり、代わりに入ったのが守備をしない柿谷でした。強豪との対戦が多く組まれたこともあり、本田を軸とした戦術の脆弱性が露見するようになりました。
守備で貢献しない選手が攻撃面でも不調だと…結果はグループリーグ3試合できっちりと教え込まれました。

同じ守備でも引いて守るものは別の守備も存在します。
ラインを押し上げると同時に全体をコンパクトに保ってスペースを消し、ボールを奪ったら素早くゴールを強襲するショートカウンターです。現代サッカーのトレンドですね。
よく勘違いされますが、カウンターは守備戦術ではなく攻撃の戦術です。引いて守ること、あるいはラインを上げてスペースを消すことが守備の戦術です。

当然ですが、相手によって戦術を多様に使い分けられるチームの方が相手としても対策が難しくなります。
日本にはそうした柔軟性も備わっていませんでした(備えてこなかった、と言うべきでしょうか)。


口では優勝などとのたまい、結果がついてこなかった。
批判を受けることは必至ですし、私自身も失笑と失望を禁じ得ません。ただ、選手は常に全力で闘ったと思いますし、試合後のコメントからも批判は覚悟しているかのような発言が見られました。

監督もすべての責任は私にある、と誰一人言い訳はしませんでした(正確に言えば「誰一人」ではないのですが…)。

このような終わり方(「結果」ではなく。結果はあくまで選手や監督の責任なので)になった最大の原因は日本サッカー協会とスポンサー、メディア、そして我々ファンだと思っています。

日本サッカー協会は前々から批判を集めていましたが、そろそろ監督だけでなく自身らもその職を辞するときではないでしょうか。
日本サッカー協会という温室が日本のサッカーをダメにしていると言っても過言ではありません。
ワールドカップ後、大した検証もせずに口から出てくるのはその場しのぎで薄っぺらい言葉ばかり。日本代表の強化よりも保身に努めているようにしか見えません。
また、スポンサーに配慮して親善試合はホームで組まれることが多いですが、果たしてそれで強化に繋がるのでしょうか。コパ・アメリカに招待されながらも辞退を繰り返していて本当にいいのでしょうか。
完全アウェーの環境で本気でぶつかってくる格上の相手と対戦できる数少ないチャンス。それを「選手を拘束できる権利がない」程度の理由で逃してしまっていいのでしょうか(どうも、それ以外に理由があるようですけどね)。

スポンサーもよく考えるべきでしょう。日本代表というビジネスが成功する最も単純かつ最も効果の大きい要因は「日本代表が強くなる」ことです。
強いチームは必要以上に大衆に露出せずとも人々の注目を集めます。
メッシもイニエスタも寡黙で、メディア映えする選手ではありませんが、プレーだけで人気と注目を集めています。そして、プレーが注目された後はそのスターらしからぬ地味さがまた人気を獲得する一因になっています。
日本代表が強くなるために本気でサポートする。そうした姿勢がこれからのスポンサーに問われるべきですし、企業もそれを意識してもらいたいものです。

日本はサッカーが文化として根付いていない、とよく言われます。
それを示す象徴が大会後の「よく頑張った」「感動した」「お疲れ様」などという言葉だと思っています。
言葉が悪くなりますが、こんなことは本来「負け犬」にかけるべき言葉ではありません。
そもそも、そうした言葉を放っている自称ファンたちは、日本代表を擁護していると思い込んでいるようですが、その実彼らに対して「君たちの実力はこんなものだ。最初からこうなると思っていた」と言い放っているのと同じだと気付かないのでしょうか。
敗者に対してかける「お疲れ様」とはその人が結果を出すことを信じていない諦めの台詞なのです。日本が世界を相手にして結果を出せるとは思っていないし期待してもいない、そういう人の口から出るのがそういった言葉なのです。

本気でチームを愛し、強くなってほしいと願う人から出る言葉は、そのほとんどが不甲斐ないチームに対する怒り、失望、批判です。
勝ってほしいと本気で願う人からすれば、負けたチームに対して怒りを感じない方がむしろおかしなことなのです。

分かり易くそれを示すのがセルジオ越後さんの解説です。
「批判ばかりしているジジイ」と思われている方は、アジアカップ決勝の試合をもう一度見てみましょう。
本当のファンなら覚えているでしょうし、今更言及する必要もないでしょうが、彼の喜びようはテレビを通しても強く伝わってきます。果たして、敗戦後に「お疲れ様」「よく頑張った」という人たちの中に、あれだけ喜ぶ人がどれだけいるでしょうか。
そういう人は勝ったときはサッカーをファッションにして試合に託けて騒ぐ大義名分を作り(そういう人たちが渋谷などで警察官を困らせるのでしょうね)、負けたときは批判するやつらを諌めるカッコいい自分を演じたい、そういう連中なのです。
いいことを言って周囲の共感を得たいという自己顕示欲が強いのでしょうが、そういう人がいても日本代表の強化には一切なりません。

逆に、サッカーのことを何も知らない人なら、1勝もできずに終わったと知ったら「日本弱くね」「本田とかあれだけデカいこと言っておいて結局負けたんかい」と思うはずです。

私は全員がサッカーを好きになる必要があるとは当然、思っていません。
興味ないものを強制されることほど辛いことはないですからね。
また、ワールドカップのときだけ日本代表を応援する、そういうカタチもアリだと思っています。

ただ、形だけの応援ではなく、もっと日本を叱咤激励するサポーターが増えるべきだとは思っています。
不甲斐ない試合で負けたらブーイングする程度のことはあってもいいと思います。


ザッケローニ初体制の試合。相手はメッシを擁する強豪アルゼンチンでした。
直前の試合でスペイン代表に大勝し、圧倒的な攻撃力を持った彼らを日本は完封し、勝利を収めました。

思えばその日から、我々は長い夢を見ていたのかもしれません。
たった数分で逆転され、10人の相手に1点も奪えず、主力の大半を入れ替えた相手に惨敗し、世界の「本気」を実感した我々は夢から覚めました。

いや、2010年の南アフリカワールドカップ、勝つために守備を固めた結果、ピッチ外での問題があまりにも大きすぎた相手に接戦の末勝利し、後に準優勝に輝くチームのクオリティに惜しくも穴熊を崩され、グループリーグ最終戦では2発のフリーキックで勝利をもぎ取り、決勝トーナメントではフリーキックで幸運を使い果たしたのかPK戦により終戦…
思えば、その日から多くの人は夢を見ていたのかもしれません。
こうして文字に起こすといかに酷いかがよく分かりますね。

現実を直視した今、我々は再び夢を見始めるのか。それとも、現実の中でもがきながら一縷の希望を手に進むのか。
日本全体で、「今度こそ」本気で日本のサッカーを考えるべきときが訪れています。